yuttan's diary

2020年12月に生まれた女の子を持つ父親です。妊娠、出産、育児を通して感じたことを綴ります。

夫視点での立ち合いレポート④ - 無痛(和痛)分娩

前回は鉗子分娩で使用する産科鉗子の迫力にビビった話をしました。

 

yuttan-diary.hateblo.jp

 

今回は私たちが選択した無痛(和痛)分娩について書きたいと思います。

タイトルとここまであえて無痛(和痛)分娩という書き方をしましたが、これらは産院によってどう呼ぶかが違うだけで差はないそうです。なので、以下では一般的に浸透しているであろう無痛分娩という表記に統一します。

 

無痛分娩とは

無痛分娩(むつうぶんべん、labor analgesia)とは、麻酔を用いて痛みを緩和しながら分娩(経膣分娩)を行うことである。麻酔は一般的に硬膜外麻酔。日本ではいまだ少数派であるが、欧米では無痛分娩が一般的である。専門医がいて設備が整った施設で行えば、自然分娩と比較してリスクが高いわけではない。しかし、日本では深刻な麻酔科医不足が続いており、産科にまでなかなか回せない状況が続いている。

出典:無痛分娩 - Wikipedia

 

少し古いデータですが、2014-2016年の日本における無痛分娩の割合は出産全体の5.3%だそうです。

同時期のフランスでは65.4%が無痛分娩だったことを鑑みると、日本は非常に少ないことが分かりますね。

一時期硬膜外麻酔の事故が重なった時期もあってか、無痛分娩に対する忌避感情は今でもとても色濃くあるようですね。

私も無痛分娩が絶対的にいいとは思いませんし、仮に母体へのダメージが少なくスムーズにお産が進みむのであれば自然分娩がいいんだろうなあ程度には思っています。

 

ただ、実際お産の経過は十人十色、痛みの感じ方も十人十色のようですし、それによって母体や胎児へのダメージが増えてしまうようであれば、多少のリスクを飲み込んでも全体のリスクを下げるために無痛分娩を選択するのは自然なことだと考えています。

私達の場合は

・お産の進みが非常に悪く(子宮口が一向に開かず)、それに反して痛みの度合いも強かった。

・途中から胎児が苦しいような兆候を出しており、そこからなるべく迅速なお産が求められた。

ことから、途中で陣痛促進剤投与+無痛分娩への切り替えを選択したのですが、胸を張って正解だったと言えます。

 

自然分娩至上主義の方の中で

「無痛分娩は赤ちゃんへの愛情が足りないから選択できるもの。愛情があれば1mmでもリスクの高まる手法を選べるわけがない。」

といった言い方をされるのを見たことがありますが、これは自然分娩を継続するリスクを度外視した物言いなわけで、無痛分娩を選択することが赤ちゃんへの愛情不足ということでは絶対にないと確信しています(尤も、リスクは飲み込めると判断して自分の痛みをとる為に無痛分娩を選択するのも別にいいじゃんねと思ってますが)。

 

少し話が逸れましたが、実際に無痛分娩を選択するか否かの際、どのようなリスクがあるのか、それをどう評価したらいいかは気になるところかと思います。

以下に私達が無痛分娩を選択するにあたって調べたこと、考えたことなどを記します。

・硬膜外麻酔が母体や赤ちゃんに与えるリスクは如何程か

これは皆さんも一番気になるところかと思います。確率はどうあれ実際に事故は起こってしまっているわけですし、麻酔と聞くと何となく怖い感じしますもんね。

で、私達も最初はどう考えていいかわからなかったので調べたり友人の医師・看護師に聞いたり、助産師さんに聞いたりした結果

「麻酔に関しては麻酔科医、あるいは少なくとも麻酔科医の指導をしっかりと受け実績もある産科医」が担当すればリスクは限りなく低いと言って良い(十分の見込める範囲内)という判断をしました。

私達がお産をするにあたって選択した病院は上記の条件に合致していたので、安心して無痛分娩を選択することができました。

 

また、麻酔が赤ちゃんに与える影響ですが、昔はともかく現在の手法では、母体に投与した麻酔薬は一部赤ちゃんに移行するものの、赤ちゃんの心拍、呼吸状態、筋緊張、皮膚の色、反射、意識状態や色々な刺激に対する反応を調べた結果、いずれも正常であるという研究結果が出ています。

母体に用いた麻酔量が通常より多い場合は生後24時間の赤ちゃんの反応や運動機能が少量の麻酔を投与された場合より低くなったという研究結果もありますが、この差は問題にならないほど小さいと考えられています。

さらに、時間がたった後で現れる影響がないか調べた研究も存在します。そこでは19歳までの学習障害の有無を指標としていますが、母体への麻酔投与有無が子どもの学習障害発生率を左右しないという結果が出ています。

よって、私達は麻酔が赤ちゃんに与える影響は無い(無視できるほど小さい)と判断しました。

参考:無痛分娩 Q&A | 一般社団法人 日本産科麻酔学会

 

・その他無痛分娩がはらむリスクは?

一番よくある問題は「微弱陣痛によって分娩に時間がかかること」です。

その他は母児に深刻な影響がないもの、あるいは発生頻度が低いものであるとされています。

微弱陣痛により、分娩に時間がかかる場合は陣痛促進剤を使用したり、吸引分娩あるいは鉗子分娩による補助が選択される可能性が高くなります。

私達の場合は無痛分娩の麻酔を入れる前からお産の進行が遅かったため、麻酔投与前に陣痛促進剤を使用しましたのでまた別のお話でしたが。

余談ですが妻曰く陣痛促進剤を使用した後から麻酔投与までの数時間が一番つらかったそうです。滞っていたお産が一気に進んだわけで、痛みが尋常ではなかったと言っていました。次回があれば絶対に最初から計画無痛にすると宣言しています(笑)

参考:無痛分娩のメリット・デメリット - 熊本市 | 産婦人科 無痛分娩 小児科 慈恵病院

 

・無痛分娩の追加費用は?

これはリスクという意味合いでは全くありませんが気になるところではあるかもしれません。

お産にかかる費用は産院によって全く異なりますので一概には言えないのかもしれませんが、私達に関して言えば追加で10万強かかっています。

麻酔の投与時間によっても多少上振れはありますが、これくらいのところが多いのではないでしょうか。

母親の苦しみをとり、お産をより良く行う為の費用としては決して高くないと思います。

 

 

少し長くなってしまいましたが、以上のような理由で私達の場合は無痛分娩のメリットがデメリットを大きく上回っており、リスクも十分に飲み込めるものであると判断しました。

妻の希望もあり、行けるとこまで自然分娩、途中で厳しくなったら無痛分娩に切り替えということにし、陣痛開始から12時間くらいたったところで無痛分娩を選択しました。

無痛分娩を選択したことによる問題は今のところ何も起きていませんし、何よりいざ出産というタイミングで妻に余裕があったのはとてもいいことだと思っています。赤ちゃんが出てくるところも見えたようですしね。

会陰縫合もそうですし出産後、胎盤が一部胎内に残ったため、手を突っ込んで書き出すということもしたんですが、本人は痛みが無いので全然気づかなかったそう。 こっちからすると中々の光景でしたけどね(笑)

何はともあれ、私達は無痛分娩を選択して本当に良かったと思っています。

もし第二子を授かることがあれば、その時も間違いなく無痛分娩を選択すると思います。

 

この記事が無痛分娩を選択するかどうか悩んでいるかたの一助になれば幸いです。